nekoluckのブログ

サスペンス小説

nekoluckのブログの新着ブログ記事

  • 結婚

    妄想であったとしても なんだか気味が悪い 私が思っているような頭の悪いずるい人間ではなく もしかしたら完全犯罪だって成し遂げられる 頭のいい人間だったとしても あまりに正体がわからなさ過ぎて 一緒の部屋で今までと同じように暮らしていくことはできない 今まで馬鹿にしていた夫が恐ろしい 私はその足で友... 続きをみる

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  • 結婚

    それに、公安が私をつけているのならば 当然、優雅にも四六時中見張りが付いているはずで もし、優雅がこの一連の殺人を起こしているのならば 絶対、現行犯で捕まるだろう そんな風に話すと与那嶺さんは 「公安は国家の安全のためなら その辺の殺人犯は野放しにするかもしれないわ その辺の殺人犯が五、六人を殺し... 続きをみる

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  • 結婚

    「え!私に?」 驚いている私をよそに与那嶺さんは 落ち着いた様子で 「ええ、たぶん、40くらいに そうね、私に言わせればいかにも公安ですって感じの 女の人だわ 多分、普通の人にはわからないでしょうけれど 私には何となくね・・・ 私についている人も一人じゃなくって 何人も変わっていくけれど わかっち... 続きをみる

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  • 結婚

    「私は今でも見張られているの」 「見張られている?」 「そう、赤軍派の男の女として」 「え?!誰に?」 「公安よ!」 私は全く驚いた 公安なんて小説かドラマの中のことで 実際に日本の警察組織の中に 本当にあるのかも知らなかった それに、もう、20年は与那嶺さんの周りに現れていないのだ 「今でも?」... 続きをみる

  • 結婚

    「勇気はなかったけれど 公安に十分目をつけられていたの それに、一度道をそれてしまうと 彼は学問には興味を失っていたし 就職は無理だし 親族はそろって結婚には反対するし 彼の家のほうは息子が赤軍派だったってだけで 工場は倒産して一家離散 そういう時代でもあったんだけど ああ、そうかもしれない 『総... 続きをみる

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  • 結婚

    「最初に彼を親に合わせた時に すごく喜ばれたわ 彼は東京大学の理工学部の学生だったし 親は小さいながらも中小企業の社長 さわやかでお坊ちゃんで 私も知り合ったきっかけは 喫茶店で流れていたテンペストだったし 趣味も同じで見た目もさわやかで絶対に二、三年付き合ったら 結婚すべき人だと思っていたし そ... 続きをみる

  • 結婚

    与那嶺さんは全く違う話を始めた 「私ね最初から一生独身でいようって思ってたわけではないの 今から20年くらい前まで 付き合ってる人がいたのよ」 20年前と言えば与那嶺さんが60くらい? 今の私くらいだろうか 「29歳の時に知り合って 59歳で彼が死ぬまで恋人同士だったの」 「結婚はしなかったんです... 続きをみる

  • 結婚

    与那嶺さんは濃いミルクティーを淹れてくれた それで、私は少し冷静になれた 「こういうことを言いたかったんですね」 与那嶺さんは甘いチョコレートスフレを私に勧めながら 「これ、ブランデーが入ってるし 十分甘いいのよ ショッキングなことが起きた時は お酒か甘いものがいいの もう少し落ち着くまで待ってる... 続きをみる

  • 結婚

    もう、仕事に行くどころじゃなかった 体が震えてこのままでは立ってることすらおぼつかない さっきの若い男が 「おばさん大丈夫かよ! どっか具合悪いんじゃねぇの いきなり線路に飛び出そうとするんだもん 俺、行くよ! 病院、行きなよ」 親切ないい子だったのだが 私はお礼も言えなかった あれは夫だった 背... 続きをみる

  • 結婚

    私は大概の人間のことは知りたい 好奇心旺盛でそれが全く利害関係のない人でも 過去は知っておきたい ただ、夫だけは違う それはどうでもいいと言うのとも違う ただただ、苦々しい 自分の大きな人生の失敗を目の前に突き付けられるように 苦しみだけが残りそうで 彼の過去なんか本当に知りたくない 与那嶺さんの... 続きをみる

  • 結婚

    もちろん、彼の実家に遊びに行けば 彼の兄弟や義母と話はするが 通り一遍、天気の話がせいぜいで 詳しく彼の生い立ちを聞いたこともなければ いったいどんな人なのかも知らないままだった それでも、私はよかったし 何も思うことはなかった 彼のいいところは子育てに全く口を挟まなかったことだ その頃の私は、そ... 続きをみる

  • 結婚

    恋が冷めてしまえば 夫になど全く興味がなかった 翔が新しい父親になじむよう 悲しい思いをしないように 新しい環境で、勉強がスムーズにでき 友人と楽しく過ごせるよう そのことに全力を注いでいた すぐに朱雀と環奈が生まれた 専業主婦を望んだわけではないが 翔の教育と10歳下に生まれた年子の朱雀と環奈で... 続きをみる

  • 結婚

    それは間違いないと言う 彼女が言うのならそうなんだろうけれど それなら、いったい誰が犯人だと言うの? 黙ってしまった私に、与那嶺さんは 「答えは明白だと思うけれど」 「え!?」 「あなた、ご主人の過去を知ってるのかしら?」 少し冷たい声でそう言われた 優雅の過去! いや、まったく知らない 結婚する... 続きをみる

  • 結婚

    驚いた! その優雅がわからないと言う なんだか、気持ちが悪い それでも、あと、死ぬのって 優雅、うちの夫だけだ だいたい、10万円くらいで 三人で10万円なのだから 一人頭3万3千円?! それでその、大事な情報を売るやつも売るやつだが だいたい、支店長である信也と孝也の父親が一番情けない気はする ... 続きをみる

  • 結婚

    どういうこと? 舞さんまでも殺した犯人 いったい誰なのか? 優雅としゃべるのもうんざりだが 「あれから、誰も事故にあわないね」 すると、少し笑った こいつは嘘つくときこんな笑い方をする 「もう、誰も死なないんじゃないかな」 その言い方は自信に満ちている そして、いやな予感がした 「どうして?」 少... 続きをみる

  • 結婚

    帰りの新幹線の中 少し笑ってしまうほど馬鹿な二人組だった いや、情報を売った三人組だって ディズニー映画の悪レベルだ そんなバカバカしいことに加担した夫 全くうんざりする人だ でも・・・・ じゃ、いったい誰が次々と人を殺してるの? 単なる偶然の事故? 関係者を一人一人思い浮かべてみる 肝心の強盗犯... 続きをみる

  • 結婚

    彼らが人殺しじゃないことを確信すると 腹を決めた 「あなたたち、銀行がお金を運ぶ日にちとか時間 それにルートってどうやって知ったの?」 兼のほうがぎょっとしたように 私を見たが ふみちゃんの兄ちゃんのほうは 自慢気に 「それは、あの三人組さぁ 最初、人のよさそうな支店長と愛人の人? あの人に聞きた... 続きをみる

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  • 結婚

    これはやっぱり、殺してなんかいない 「あの人、自殺したの?」 「支店長のこと愛してたんじゃない? 支店長が自殺した後、しばらくしてね」 こういう輩は愛だの、恋だのには飛びついてくる 理解しやすいから 私はかなり下の階層の人間に対しては だいたい恋愛話で仲良くなることにしている 驚いたことに、二人は... 続きをみる

  • 結婚

    「いたけど、何?」 兼のほうが前に出てきた 「何か警察にでもチクろうってわけ」 私は子供をたくさん見てきた 五歳くらいで子供の人間性は固まる だから、それ以上の大人であったとしても 五歳の子供と変わらない そして、彼らは五歳の子供に見立てたら 相当頭が悪い部類の子供だ でも、田舎者だからっていうわ... 続きをみる

  • 結婚

    今までのことから考えると 彼らが銀行強盗に成功して それまでの証拠隠しに銀行の様子を教えてもらった あの、三人組のなかの吉永敬次と市田陽を消した そしてそれに気が付いた支店長の愛人だった舞さんも手にかけた?! この岡山から人を殺しに行ったのだろうか? 何を聞こうか、何を話そうか、もしこの男が そん... 続きをみる

  • 結婚

    農協を出ると橋を渡る 小さな商店街があって横に抜けると 広い田んぼ その広い田んぼの中にポツンポツンと ビニールハウスがあった 真ん中あたりには牛を飼ってる小さな牧場もある 本当に私の田舎と同じだった 田舎から出てきて、何かいいことがあっただろうか? あのまま、田舎にいて親の言うとおりの結婚をして... 続きをみる

  • 結婚

    嘘みたいにすぐに分かった でも、田舎ってこういうものだ 「ふみちゃんの兄ちゃんと友達の兼とかいう人が トマト農家失敗して東京行って金貯めて 今度はキュウリ農家やるって張り切ってますよ それじゃないですかねぇ」 それに違いない でも、東京に出てから次にキュウリ農家をやれるまで 期間が短すぎない? 周... 続きをみる

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  • 結婚

    私は岡山のその町に行ってみることにした 雲をつかむような話かもしれない そう思ったけれど田舎生まれの私には その町の規模を調べて、そうでもないと思えた 自分がその程度の町の近くの村の出身で たぶん、「トマト農家に失敗した30代くらいの人間」 そういえば、すぐに噂になっていて わかるはずだと思ったか... 続きをみる

  • 結婚

    「田舎から出てきて トマト農園に失敗したって二人組?」 「いや、あいつらそんな悪には見えなかったし だいたい、銀行強盗の犯人かもわからんやろ 利ちゃん、それ、警察に言うべきだろ」 すると、おばちゃんの一人が 「ないない!だって、あの二人 岡山県岩下町から来たって はっきり言ってたよ そんな悪どもが... 続きをみる

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  • 結婚

    私は利さんのそばに行くと 「その田舎者って?」 唐揚げをおごると、ちょっと、嬉しそうに 「二人組さ! 30くらいの二人組で 田舎でトマト栽培に失敗したから 東京で何としても一旗揚げないと帰れない そんなこと言ってたかなぁ 俺はあいつらが犯人だと思ってる あの三人組はあいつらに情報を流したんだと思う... 続きをみる

  • 結婚

    そんな話で盛り上がってると 隅で飲んでた暗そうなおっさんが 「今じゃ証拠はねぇけどさ おりゃ、あいつら情報を売ったんじゃねぇかって 思ってるんだ ほんの少しの飲み代欲しさにさ ほら、あの事件の前にここに入り浸ってた 田舎者の変な奴らいただろ あいつら何とか支店長に取り入ろうとしてたけど 無理だった... 続きをみる

  • 結婚

    それでも、その程度なら恨まれるってことはないだろう そう思ったが舞さんのメモに 情報を打った?! そう書かれていた どういうことだろう? 『父ちゃん』通い、慣れたころに話を聞く 「ここって銀行強盗の時に お客さんがアリバイとか調べられたんですって?」 そんな風に振ってみると 常連のおっちゃんが 「... 続きをみる

  • 結婚

    「いい人には違いないけど なんかわきが甘いっていうか 現金強盗に合う前から ちょっと、心配はしてたのよ だって、銀行での社内秘っていうの そういうのもなんか軽くしゃべるようなとこもあってね だって、あの頃 よく彼女と飲みに行っていた飲み屋 『父ちゃん』って言うんだけど 私も常連でね あそこで知り合... 続きをみる

  • 結婚

    この辺りは昔ながらの店も多いし 銀行強盗の話はみんな知っていた 小さな豆腐屋に入って聞いてみると 「ああ、あれねぇ 犯人、結局つかまってないんだよねぇ 可愛そうだったのはあの支店長だったね」 「そうなんですか? でも、支店長のせいだなんてことはないでしょう」 「ああ、それがさ現金の運ばれる時間とか... 続きをみる

  • 結婚

    ああ、ここの居酒屋で三人と敦也さん そして舞さんは顔見知りになっている 敦也さんはこの時に銀行強盗に会っていて その責任を取って会社を辞め そのまま自殺に追い込まれている え! この銀行強盗にまさか、この三人がかかわっている? いやいやいや! うちの夫はバカでもあるが臆病でもある そんなことにかか... 続きをみる

  • 結婚

    私は家にいるときはだいたい自分の部屋にこもっている 六畳の小さな部屋だが、それで十分だ 娘が置いていった勉強机にメモを広げて いったいどんなことが起きていたのかを読んでいく 驚いたことにこの事件のきっかけは 夫が長い単身赴任から帰ってくる前 最後の赴任先は高尾のほうの小さなスーパー そのころから始... 続きをみる

  • 結婚

    「それで、その、えっと あの夫婦の亡くなった原因とかを調べているうちに その三人にたどり着いて で、真実かどうかはわかりませんが あなたの夫のこともかなり辛辣に書いています でも、もしかしたら命を狙われているかもしれないから やはりお知らせしたほうがいいかもしれないと思いまして」 私は命を狙われる... 続きをみる

  • 結婚

    「あの、姉が残したメモとか資料とかがあって もしかしたらって与那嶺さんに確かめたんです でも、もう一度ご本人に確認したほうがいいかもしれない そう思って」 そう言いながらメモとはいえ膨大な資料をテーブルに出すと パラパラとめくりながら 「あ、あった! この名前なんですけど もしかしてご主人じゃない... 続きをみる

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  • 結婚

    祐樹のことは私が送っていくことになった 「すみません、一人でも帰れるんですが ちょっと、気になることがあって 良かったらうちの家まで来てもらえますか」 姉がいなくなったと言うのに 掃除は行き届いていたし 端々にきちんとしている様子が見えた 「普通に片づけたりするのも大変でしょう 何かあったら言って... 続きをみる

  • 結婚

    舞さんが亡くなった頃から 夫が楽しそうで落ち着いてきた 私はてっきり次は夫の番に違いないから 夫はおびえて外にも出なくなるんじゃないかと思っていたのに のびのびと前にもまして楽しそうに毎日を送っている 別に何でもなかったのかしら 全く関係なかった? 残念なような・・・・ 私は自分の思い過ごしで す... 続きをみる

  • 結婚

    そう聞きながら 自分でも馬鹿だと思った 自殺するならもっと、まともな場所でするだろう 地下鉄の下りる階段から飛び降りたりしない そう気が付いた私を見ながら 「舞さんは確かに、あの子たちの父親が亡くなった時に 一緒に死にたいとは言ってたけれど 弟さんがいるでしょ 弟さんのことは舞さんの幸せの妨げにな... 続きをみる

  • 結婚

    すごく優しくて不幸な人 与那嶺さんが二人の兄弟を引き取ってから 舞さんに何度も会っているうちに もしかしたら、舞さんは 二人の父親を愛していたあまりに 後を追って死ぬのではないかと恐れていたらしい 「あの二人の父親はまじめで優しい人だったけれど 弱い人だったんでしょうね 舞さんもあまりに大変な人生... 続きをみる

  • 結婚

    兄弟も落ち込んでいたが 与那嶺さんの家で一緒にお茶を飲んでいるうちに 少しづつ元気になり これからはもっと、長沢さんを訪ねようと 自分たちの部屋に下がっていった 与那嶺さんは二杯目の紅茶を淹れながら 「舞さんがあんなことになるなんて 本当に世の中何があるかわからないわね 私ぐらいの年になると 何が... 続きをみる

  • 結婚

    長沢祐樹から連絡があった 姉が亡くなったと言うと言う え! 私は何となくだが あの会えなかったお姉さんていうのが 保険の外交員だったような気がしていて 実際、何故なのかはよくわからないが もしかしたら吉永敬次と市田陽を殺したのは 彼女何ではないか?! そう思っていたのに・・・・ 葬式に行くのにあの... 続きをみる

  • 結婚

    こんな頭の悪い夫と仲がいいくらいなんだから きっとろくでもない人間で ひき逃げされそうな頭の悪い奴 そう思おうとするのだが そうじゃない 偶然じゃない やっぱり夫は命を狙われている? なんだか間違いないような気がする 私はその日、仕事が終わるとすぐにあの居酒屋に行ってみた 「あ、あの幼馴染の陽さん... 続きをみる

  • 結婚

    「それで? その頭の悪いどうせヤンキーなんでしょ スピードを出しすぎてどこかにぶつかったとか?」 私はわざと市田陽を知らないふりをして、そう聞くと 「いやいや、そんな子じゃない 大人しいし、頭も悪くないし ヤンキーでもないよ」 「だって、若いのにパパと一緒の仕事なんて 頭が悪いに決まってるでしょ」... 続きをみる

  • 結婚

    夫はもともと営業で それも言われたことしかやらないタイプだし 自分で動くと必ず失敗するほどの人間だったけれど アパレルの営業だったから許せた いつだって服装は完璧だったから スーツだって数十万、ワイシャツ一枚にしろオーダーで作ったり コートになると一枚数十万のものを何枚も持っていた もちろん仕事柄... 続きをみる

  • 結婚

    私は夫の周りの事故を独自に調べている なんてことを知られたくなかった 陽に関しての話はわからないふりをして 「知り合いなの? どうかした?」 「交通事故で死んだ」 ぽつりと一言 吉永敬次の事故から数か月 また、一人死んだわけだ やはり、何かがあったに違いない 「この間、吉永のおっさんが川でおぼれて... 続きをみる

  • 結婚

    三人! その三人で何かしたんだろうか? 殺されるようなこと! それでも、積極的に調べようとはならない 三人はごく普通の人間だ やくざやごろつきなんかじゃない、最近出張ってきた 半ぐれとかでもない おっさんの吉永はいいお父さん 若い市田 陽はおとなし気な 同じ世代では友人もできない人間で うちの夫で... 続きをみる

  • 結婚

    彼が良くいく居酒屋で話を聞いた 店主はまだ若そうだ 「ああ、敬次さんねぇ いい人だし、酒さえ飲まなきゃ楽しいおっさんだな ここに来始めてからはに三年なるかなぁ 陽が連れてきたんだ 職場が一緒になったって 何でも、三人でチームを組んで土方やるんだろ 陽は調子はいいけど友達作るのが下手でさ 俺とは幼馴... 続きをみる

  • 結婚

    「どんな人だったか見たことあります?」 「ああ、あるよ! 最後に来たのが旦那のお葬式だったからね」 「え!どんな人でした?」 まさか見たことあるとは 「髪の毛を後ろで束ねていて ちらっとしか見なかったけれど 喪服は上等なしろもんだったよ」 「女の人?」 「ああ、保険の外交員って言ったらおばちゃんじ... 続きをみる

  • 結婚

    そこら辺の知り合い程度の人間が 事件に巻き込まれて殺されるって聞いたほうが よほど正義感を刺激されてもっと、積極的に動くだろう 私の躊躇はそんな、いいのか悪いのか 夫を嫌っているせいだと自分ではわかっていた 結婚というシステムは お互いがよほど人間として立派でなければ幸せにはならない 私くらいの年... 続きをみる

  • 結婚

    私はこのまま調べていくと 夫も殺されるようなことになるのではないか そんな予感は十分持っていたし 足の悪い長沢祐樹が感じのいい人だから 事件性はないと勝手に思い込もうとしている 夫が殺されたら困る それは困る 何かと騒がれたり事件の渦中に放り込まれたり 金銭的にもやっていけなくなる それ以外には何... 続きをみる

  • 結婚

    誰もが事故で間違いないと言う 「保険って?」 「ああ、別に何でもないよ 貧乏人のひがみさ あの事故より前にたまたま来た保険の外交員さんが とにかく押の強い人で 結構な額の保険に入らされたらしいよ それがよかったんだけどね 愛ちゃんも奥さんだって そのおかげでこれからは、旦那が生きていたころより 幸... 続きをみる

  • 結婚

    長沢の姉と連絡が取れない がしかし長沢祐樹は 「すみません 姉はうっかりやでスマホを落としたり どこかに置きっぱなしにしたりするんで 今回もきっとそんなことだと思います 連絡が取れましたらすぐに姉から連絡するように申します」 そんなふうに何の屈託もなさそうに言ってくれた 私は人が死んでいることが気... 続きをみる

  • 結婚

    「あの、信也君がやっていたバイトですけど 長沢さんの紹介だそうで 急に辞めても大丈夫だったんですか?」 彼は私の苗字を見ても何も反応しなかったから 夫を見張るバイトの内容を知らないんじゃないか それに、この生活 清廉潔白だし悪い人には見えない そう思って聞いてみると、案の定 「ああ、そうなんです ... 続きをみる

  • 結婚

    炬燵に座って、紙コップに 横にキレイに置いてあるウーロン茶のペットボトルから お茶を入れてくれた 炬燵の上は奇麗に片付いていて何もなく そのペットボトルの横に小さなタッパーがあり そこにお菓子や食べ物が入っているようだった 普段、家での生活はいざって回れば大丈夫なんだと笑った 私はすぐにクッキーを... 続きをみる

  • 結婚

    足立区の小さな一軒家 古い! いや、ぼろい! 確かにこれではあの兄弟を助けることはできなかっただろう そう思いながらベルを押した このベルもなるかどうか心配なレベルだったが ブーとしっかり鳴った しばらく待つと中から低い男の声 「どなたですか?」 低いけれど、優しそうな声だった 「あの、森本君たち... 続きをみる

  • 結婚

    そのうち二人が帰ってきた 二人はテーブルの上の紅茶よりも 与那嶺さん手作りのクッキーを 嬉しそうに食べている ずいぶんたくさん焼いたものだと思っていたら 彼らのおやつだったのだ あの、池袋で会った兄弟とは思えないほど 幸せそうだ 「そういえば、あの頃やってたバイト 誰からのお世話だったの?」 「お... 続きをみる

  • 結婚

    もっと、詳しい話が聞きたくて 私は久しぶりに信也たちを預けた与那嶺さんの所に行ってみた 昭和の初期に建てられたような古風な家だ 与那嶺さんのご両親は大正生まれで この家は新婚の時に与那嶺さんの父親が 結構な財産を相続して建てたらしい 与那嶺さんはこの家で蝶よ花よと育てられ あまりにも純粋すぎて結婚... 続きをみる

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  • 結婚

    一人死んでいる 事故? 私はすぐにその事故を調べ始めた 夫とは口も利かないほど疎遠にはなっていたけれど さりげなく聞いてみる 「だれか仕事仲間が亡くなったの?」 日ごろほとんどしゃべらない私の質問に驚いたように 「ああ、敬さんがね 前から酒のみだったけれど 二週間ぐらい前に酒飲んで川に落ちたらしい... 続きをみる

  • 結婚

    母親が教育熱心で信也はもちろん 孝也も小学五年にしてはかなり先取り教育をしていた 二人と話していると、これはもったいない そう思わされることが多々ある 私は知り合いがやっているNPO法人 何とか援助してくれる金満家 色々調べてみた 二人で生活しながら学校に行く それもできないことはない 独身女性の... 続きをみる

  • 結婚

    その時になっても実際に夫が命を狙われているなんて 信じてはいなかった もちろん、数度の奇禍はあったが 夫、優雅という人はいかにもそういう人なのだ 一番大事なのは家族より自分自身 それはそれで、生まれつきそういう人なんだから仕方がない それに対して何か思うことにはとっくにあきらめていたが やることな... 続きをみる

  • 結婚

    『おじいさん』 興味もないし、まったく嫌な奴なのだが 夫がそう呼ばれるのはショックでもあった でも、よく考えれば、私も60だし 彼らから見れば、立派なおじいさんおばあさんなのだろう それに孝也は尾行しているおじいさんの妻が私とは知らないのだ そういわれると、夫のような年寄りが尾行されたり なぜ命を... 続きをみる

  • 結婚

    「親がある夜、二人ともいなくなって 次の日の夕方、二人の遺体が北海道で見つかった それがすべてでした どうしてそうなったのか全く分からなかったんですが どうやらすごい借金があったようで 自殺でした とにかくわかったのは、自分たちにはお金がないってことだけです」 それは過酷な経験をしたものだ だれか... 続きをみる

  • 結婚

    森本信也 それがその男の子の名前で 弟は孝也 驚いたことにラインを交換した次の週 信也から連絡があった 弟の孝也がこの前私がやっていたソシャゲーを ダウンロードしたいから 色々教えてやってくれ 施設ではスマホは持てないが 自分と会っている間はゲームをやらせてあげたいから そんな話だった 私は何とか... 続きをみる

  • 結婚

    「お兄ちゃんと一緒でいいねぇ」 「久しぶりなんだ いつもは施設にいて、ちっともおもしろくない とにかく大人しくして大人の言うことを聞け!って だから兄ちゃんが遊びに連れってくれるのは 一番の楽しみ おばさん、ゲーム好きにできていいなぁ 施設だと時間は短いし やりたいゲームは順番だし 早く兄ちゃんと... 続きをみる

  • 結婚

    小学生くらいの男の子 私は職業柄、そういう年齢の子は扱いなれている 翔が大学を出てから30代に入った頃、会社を興した その中に教育部門っていうところがあって 私はそこで家庭教師をしていたから 小学4年から6年くらいはお手の物だ 見かけた様子だけでも多分五年生だ そのくらいの男の子が好きなゲームはす... 続きをみる

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    私は夫に、その男の子のことは話していなかった SNSで彼らしき人を見つけた時も 何も言わなかった 今もその写真をスマホで見せて 「この、男の子、知ってる?」 そう聞いてみる 理由は言わない 「いや、知らないけど その人が何?」 本当に全く知らないようだった 私は彼に直接あたってみようか?! なんで... 続きをみる

  • 結婚

    夫がひき逃げにあった日から二週間 いや、もしかしたらひき逃げではないかもしれないが 毎日、見張ることはできない 仕事もあるし、私は夫の安全なんかどうでもよかった ただの好奇心と言えば、そうなのかもしれない 世の中は結婚について本当のことは語らない 嫌なら離婚すればよくて、離婚しない嫌な人のことは ... 続きをみる

  • 結婚

    顔はボケているが、その服装は 緩いパンツに白いラインが入っているところ 上のパーカーの色と大きさ そして、紺のニット帽 間違いなく彼だ 彼がここに写りこんでいる ハッとした 夫は今回は誰かに押されたなんて言ってはいなかった もう一度、念を押してみる 「ねぇ、誰かに押されたなんてことはなかった? 前... 続きをみる

  • 結婚

    その子を見かけてから、もう一度夫はけがをした 車に引かれそうになったのだ 怪我自体はいつものように大したことはなかったけれど 今回はひき逃げではないかと警察も調べてくれた 彼がひかれそうになった車は、真っ黒なハイエース 目撃者も何人かいて その車がものすごいスピードで逃げて行ったと言った 私も、本... 続きをみる

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    興味がないと言っても結婚したのは恋でもあった でも、よく言われているように三年もすれば そんな気持ちも消えてしまっていた 恋というような浮足立った気持ちがなくなれば ああ、彼は偏差値40くらいの人なのか これは営業職でネクタイを締めてっていうのは 多分彼にとってものすごく大変なのだ 子供たちが小さ... 続きをみる

  • 結婚

    外を一緒に歩くこともなくなった夫 その日曜日はたまたま買い物帰りの私と 前を歩く優雅の時間が重なった あ、優雅だ いやだなぁ、出来るだけ会いたくない 帰るの少し時間をずらそうかな そう思って、家の近くのコーヒーショップに入ろうと思うと その時に優雅をつけているような若い男がいるのに気が付いた つけ... 続きをみる

  • 結婚

    怪我は擦り傷程度 でも、また、誰かに押された そんなことを言っている バカバカしい 誰かが後ろから押したくなるような顔でもしてたんだろう その時になっても私は信じなかった それからも喋れば人をイライラさせるから ほとんど口も利かないで数か月が過ぎた 口を利かないと、夫との生活はほとんど接点がない ... 続きをみる

  • 結婚

    誰かを殺さなければ自分の目的が達せられない そんな人間はクズだし 頭の悪い奴だ 昔からそう思っていた 推理小説のどんな素晴らしいトリックを読んでも バカバカしいとしか思えなかった それが誰かのためでも どんなに大事な人を殺されたとしても 人を殺すのは極めて頭の悪い所業だ 私はそう思っている 夫、優... 続きをみる

  • 結婚

    「バスタオルって乾くのに二、三日かかるよね」 確かにほかの家ではそうかもしれない でも、うちでは絶対にないことで 毎日、夜使ったバスタオルは次の日の朝には乾いているし 天気が悪かったとしても 次の日の昼には奇麗にたたまれて バスタオル置き場に並んでいる その事実の前に、そんなことを言う 一事が万事... 続きをみる

  • 結婚

    それから30年間 夫の性格とか夫が持って帰るお金とか 全く興味がなかった 翔の下に夫との子供が二人 朱雀と環奈 末娘の環奈が大学を卒業するまで 子育てに夢中で夫が一体どんな人であるか 全く知らなかったと言ってもいいかもしれない その30年の間の17,8年は単身赴任で 一年に一度会うか会わない、そん... 続きをみる

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  • 結婚

    私と翔は切羽詰まっていた 前の夫のDVから逃げるために 私は東京の地下に潜っていた お金もないし住む場所もない 住み込みの寮のある風俗で働いていた 何とかここから脱出しなければ それでも再婚相手は慎重に選んだつもりだった お金があるだけなら結構いたが 歳をとりすぎていたり 見た目が悪かったり 何よ... 続きをみる

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    若い、と言っても30はとっくに過ぎているが その彼女が頼んだハーブティーを飲むこともなく ほとんど怒りに任せて夫の浮気を私にぶちまける よく聞く話だ 職場の入ったばかりの新人 23歳で若くて尻軽女 夫の浮気は初めてではなくてこれで二度目 それでも別れたくはない 彼のことが好きでたまらない そりゃ、... 続きをみる

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