nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

もちろん、彼の実家に遊びに行けば
彼の兄弟や義母と話はするが
通り一遍、天気の話がせいぜいで
詳しく彼の生い立ちを聞いたこともなければ
いったいどんな人なのかも知らないままだった


それでも、私はよかったし
何も思うことはなかった
彼のいいところは子育てに全く口を挟まなかったことだ
その頃の私は、それは最良の父としての態度だと思っていた
ママ友との話でよく聞くのは
夫の口出しがすごい
何なら、子育ての主導権は夫が握っている
そんな話をよく聞いたし
私が知っている限り、
父親が口うるさく教育に首を突っ込んでいる家の子供は
そんなに出来が良くない
それをしないだけ賢い父親だと思っていたが
長い単身赴任の末に一緒に暮らしてみると
そんな考えなど毛頭ないと言うのがわかった
彼には普通に子供を大学に、いや、高校にやるのに
いくらかかるかとか
塾にやったほうがいいとか
教育の一般常識すら何もなかった
全くわかっていなかったし、調べようとも思っていなかったのだ


あまりの無知に夫婦二人で暮らし始めて
彼のことなど全く知りたくなかった
こんな人を夫に選んだ自分のバカさ加減に
嫌気がさしてもいたのだ