nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

「最初に彼を親に合わせた時に
すごく喜ばれたわ
彼は東京大学の理工学部の学生だったし
親は小さいながらも中小企業の社長
さわやかでお坊ちゃんで
私も知り合ったきっかけは
喫茶店で流れていたテンペストだったし
趣味も同じで見た目もさわやかで絶対に二、三年付き合ったら
結婚すべき人だと思っていたし
その頃、私たちが付き合っていて反対する人なんか誰もいなかったわ
母なんか私よりも息子になるのを切望したほどよ


それが少しづつ変わってきたの
当時の空気としては学生運動に無関係な、特に男は
人間としてダメな奴だ
体制にしっぽを振るなんて言語道断
そんな空気だったのよ
彼は本当にお坊ちゃんだったっていうのもあるし
あまり自分の考えを持っていなかったのね
気が付いた時にはバリバリの赤軍派
それでも、あんな事件に直接かかわるほどは
勇気がなかったみたいなの」


与那嶺さんの恋愛
これは思ってもみなかった話で
私の中で小学生のころテレビで見た
恐ろしい赤軍派とやらの世相がいろいろと膨らんだ
結局、彼は浅間山荘事件には関係なかったのだし
めでたく考えを変えて結婚ってことにはならなかったんだろうか?