結婚
「私は今でも見張られているの」
「見張られている?」
「そう、赤軍派の男の女として」
「え?!誰に?」
「公安よ!」
私は全く驚いた
公安なんて小説かドラマの中のことで
実際に日本の警察組織の中に
本当にあるのかも知らなかった
それに、もう、20年は与那嶺さんの周りに現れていないのだ
「今でも?」
「ええ今でも!
そのことが私の励みになってるの
私自身にプライバシーなんてものはないの
誰に毎日を見られても
代り映えのしない毎日
二人の男の子が住んでくれて
活気のある毎日になったけれど
二人もそのうち出ていくでしょう
また、一人ぼっちの日々が始まるだけ
でも、本当は違うのよ
私をずっと見つめている目があるの」
それは気持ちが悪いと思うのは
間違っているのだろうか?
でも、そんなに与那嶺さんは孤独で
深い悲しみの中にいるのかもしれない
「そういう監視があなたにもついているんじゃないかって
最近気が付いたのよ」
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