nekoluckのブログ

サスペンス小説

2022年12月のブログ記事

  • 結婚

    「田舎から出てきて トマト農園に失敗したって二人組?」 「いや、あいつらそんな悪には見えなかったし だいたい、銀行強盗の犯人かもわからんやろ 利ちゃん、それ、警察に言うべきだろ」 すると、おばちゃんの一人が 「ないない!だって、あの二人 岡山県岩下町から来たって はっきり言ってたよ そんな悪どもが... 続きをみる

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  • 結婚

    私は利さんのそばに行くと 「その田舎者って?」 唐揚げをおごると、ちょっと、嬉しそうに 「二人組さ! 30くらいの二人組で 田舎でトマト栽培に失敗したから 東京で何としても一旗揚げないと帰れない そんなこと言ってたかなぁ 俺はあいつらが犯人だと思ってる あの三人組はあいつらに情報を流したんだと思う... 続きをみる

  • 結婚

    そんな話で盛り上がってると 隅で飲んでた暗そうなおっさんが 「今じゃ証拠はねぇけどさ おりゃ、あいつら情報を売ったんじゃねぇかって 思ってるんだ ほんの少しの飲み代欲しさにさ ほら、あの事件の前にここに入り浸ってた 田舎者の変な奴らいただろ あいつら何とか支店長に取り入ろうとしてたけど 無理だった... 続きをみる

  • 結婚

    それでも、その程度なら恨まれるってことはないだろう そう思ったが舞さんのメモに 情報を打った?! そう書かれていた どういうことだろう? 『父ちゃん』通い、慣れたころに話を聞く 「ここって銀行強盗の時に お客さんがアリバイとか調べられたんですって?」 そんな風に振ってみると 常連のおっちゃんが 「... 続きをみる

  • 結婚

    「いい人には違いないけど なんかわきが甘いっていうか 現金強盗に合う前から ちょっと、心配はしてたのよ だって、銀行での社内秘っていうの そういうのもなんか軽くしゃべるようなとこもあってね だって、あの頃 よく彼女と飲みに行っていた飲み屋 『父ちゃん』って言うんだけど 私も常連でね あそこで知り合... 続きをみる

  • 結婚

    この辺りは昔ながらの店も多いし 銀行強盗の話はみんな知っていた 小さな豆腐屋に入って聞いてみると 「ああ、あれねぇ 犯人、結局つかまってないんだよねぇ 可愛そうだったのはあの支店長だったね」 「そうなんですか? でも、支店長のせいだなんてことはないでしょう」 「ああ、それがさ現金の運ばれる時間とか... 続きをみる

  • 結婚

    ああ、ここの居酒屋で三人と敦也さん そして舞さんは顔見知りになっている 敦也さんはこの時に銀行強盗に会っていて その責任を取って会社を辞め そのまま自殺に追い込まれている え! この銀行強盗にまさか、この三人がかかわっている? いやいやいや! うちの夫はバカでもあるが臆病でもある そんなことにかか... 続きをみる

  • 結婚

    私は家にいるときはだいたい自分の部屋にこもっている 六畳の小さな部屋だが、それで十分だ 娘が置いていった勉強机にメモを広げて いったいどんなことが起きていたのかを読んでいく 驚いたことにこの事件のきっかけは 夫が長い単身赴任から帰ってくる前 最後の赴任先は高尾のほうの小さなスーパー そのころから始... 続きをみる

  • 結婚

    「それで、その、えっと あの夫婦の亡くなった原因とかを調べているうちに その三人にたどり着いて で、真実かどうかはわかりませんが あなたの夫のこともかなり辛辣に書いています でも、もしかしたら命を狙われているかもしれないから やはりお知らせしたほうがいいかもしれないと思いまして」 私は命を狙われる... 続きをみる

  • 結婚

    「あの、姉が残したメモとか資料とかがあって もしかしたらって与那嶺さんに確かめたんです でも、もう一度ご本人に確認したほうがいいかもしれない そう思って」 そう言いながらメモとはいえ膨大な資料をテーブルに出すと パラパラとめくりながら 「あ、あった! この名前なんですけど もしかしてご主人じゃない... 続きをみる

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  • 結婚

    祐樹のことは私が送っていくことになった 「すみません、一人でも帰れるんですが ちょっと、気になることがあって 良かったらうちの家まで来てもらえますか」 姉がいなくなったと言うのに 掃除は行き届いていたし 端々にきちんとしている様子が見えた 「普通に片づけたりするのも大変でしょう 何かあったら言って... 続きをみる

  • 結婚

    舞さんが亡くなった頃から 夫が楽しそうで落ち着いてきた 私はてっきり次は夫の番に違いないから 夫はおびえて外にも出なくなるんじゃないかと思っていたのに のびのびと前にもまして楽しそうに毎日を送っている 別に何でもなかったのかしら 全く関係なかった? 残念なような・・・・ 私は自分の思い過ごしで す... 続きをみる

  • 結婚

    そう聞きながら 自分でも馬鹿だと思った 自殺するならもっと、まともな場所でするだろう 地下鉄の下りる階段から飛び降りたりしない そう気が付いた私を見ながら 「舞さんは確かに、あの子たちの父親が亡くなった時に 一緒に死にたいとは言ってたけれど 弟さんがいるでしょ 弟さんのことは舞さんの幸せの妨げにな... 続きをみる

  • 結婚

    すごく優しくて不幸な人 与那嶺さんが二人の兄弟を引き取ってから 舞さんに何度も会っているうちに もしかしたら、舞さんは 二人の父親を愛していたあまりに 後を追って死ぬのではないかと恐れていたらしい 「あの二人の父親はまじめで優しい人だったけれど 弱い人だったんでしょうね 舞さんもあまりに大変な人生... 続きをみる

  • 結婚

    兄弟も落ち込んでいたが 与那嶺さんの家で一緒にお茶を飲んでいるうちに 少しづつ元気になり これからはもっと、長沢さんを訪ねようと 自分たちの部屋に下がっていった 与那嶺さんは二杯目の紅茶を淹れながら 「舞さんがあんなことになるなんて 本当に世の中何があるかわからないわね 私ぐらいの年になると 何が... 続きをみる

  • 結婚

    長沢祐樹から連絡があった 姉が亡くなったと言うと言う え! 私は何となくだが あの会えなかったお姉さんていうのが 保険の外交員だったような気がしていて 実際、何故なのかはよくわからないが もしかしたら吉永敬次と市田陽を殺したのは 彼女何ではないか?! そう思っていたのに・・・・ 葬式に行くのにあの... 続きをみる

  • 結婚

    こんな頭の悪い夫と仲がいいくらいなんだから きっとろくでもない人間で ひき逃げされそうな頭の悪い奴 そう思おうとするのだが そうじゃない 偶然じゃない やっぱり夫は命を狙われている? なんだか間違いないような気がする 私はその日、仕事が終わるとすぐにあの居酒屋に行ってみた 「あ、あの幼馴染の陽さん... 続きをみる

  • 結婚

    「それで? その頭の悪いどうせヤンキーなんでしょ スピードを出しすぎてどこかにぶつかったとか?」 私はわざと市田陽を知らないふりをして、そう聞くと 「いやいや、そんな子じゃない 大人しいし、頭も悪くないし ヤンキーでもないよ」 「だって、若いのにパパと一緒の仕事なんて 頭が悪いに決まってるでしょ」... 続きをみる

  • 結婚

    夫はもともと営業で それも言われたことしかやらないタイプだし 自分で動くと必ず失敗するほどの人間だったけれど アパレルの営業だったから許せた いつだって服装は完璧だったから スーツだって数十万、ワイシャツ一枚にしろオーダーで作ったり コートになると一枚数十万のものを何枚も持っていた もちろん仕事柄... 続きをみる

  • 結婚

    私は夫の周りの事故を独自に調べている なんてことを知られたくなかった 陽に関しての話はわからないふりをして 「知り合いなの? どうかした?」 「交通事故で死んだ」 ぽつりと一言 吉永敬次の事故から数か月 また、一人死んだわけだ やはり、何かがあったに違いない 「この間、吉永のおっさんが川でおぼれて... 続きをみる

  • 結婚

    三人! その三人で何かしたんだろうか? 殺されるようなこと! それでも、積極的に調べようとはならない 三人はごく普通の人間だ やくざやごろつきなんかじゃない、最近出張ってきた 半ぐれとかでもない おっさんの吉永はいいお父さん 若い市田 陽はおとなし気な 同じ世代では友人もできない人間で うちの夫で... 続きをみる

  • 結婚

    彼が良くいく居酒屋で話を聞いた 店主はまだ若そうだ 「ああ、敬次さんねぇ いい人だし、酒さえ飲まなきゃ楽しいおっさんだな ここに来始めてからはに三年なるかなぁ 陽が連れてきたんだ 職場が一緒になったって 何でも、三人でチームを組んで土方やるんだろ 陽は調子はいいけど友達作るのが下手でさ 俺とは幼馴... 続きをみる

  • 結婚

    「どんな人だったか見たことあります?」 「ああ、あるよ! 最後に来たのが旦那のお葬式だったからね」 「え!どんな人でした?」 まさか見たことあるとは 「髪の毛を後ろで束ねていて ちらっとしか見なかったけれど 喪服は上等なしろもんだったよ」 「女の人?」 「ああ、保険の外交員って言ったらおばちゃんじ... 続きをみる

  • 結婚

    そこら辺の知り合い程度の人間が 事件に巻き込まれて殺されるって聞いたほうが よほど正義感を刺激されてもっと、積極的に動くだろう 私の躊躇はそんな、いいのか悪いのか 夫を嫌っているせいだと自分ではわかっていた 結婚というシステムは お互いがよほど人間として立派でなければ幸せにはならない 私くらいの年... 続きをみる

  • 結婚

    私はこのまま調べていくと 夫も殺されるようなことになるのではないか そんな予感は十分持っていたし 足の悪い長沢祐樹が感じのいい人だから 事件性はないと勝手に思い込もうとしている 夫が殺されたら困る それは困る 何かと騒がれたり事件の渦中に放り込まれたり 金銭的にもやっていけなくなる それ以外には何... 続きをみる

  • 結婚

    誰もが事故で間違いないと言う 「保険って?」 「ああ、別に何でもないよ 貧乏人のひがみさ あの事故より前にたまたま来た保険の外交員さんが とにかく押の強い人で 結構な額の保険に入らされたらしいよ それがよかったんだけどね 愛ちゃんも奥さんだって そのおかげでこれからは、旦那が生きていたころより 幸... 続きをみる

  • 結婚

    長沢の姉と連絡が取れない がしかし長沢祐樹は 「すみません 姉はうっかりやでスマホを落としたり どこかに置きっぱなしにしたりするんで 今回もきっとそんなことだと思います 連絡が取れましたらすぐに姉から連絡するように申します」 そんなふうに何の屈託もなさそうに言ってくれた 私は人が死んでいることが気... 続きをみる

  • 結婚

    「あの、信也君がやっていたバイトですけど 長沢さんの紹介だそうで 急に辞めても大丈夫だったんですか?」 彼は私の苗字を見ても何も反応しなかったから 夫を見張るバイトの内容を知らないんじゃないか それに、この生活 清廉潔白だし悪い人には見えない そう思って聞いてみると、案の定 「ああ、そうなんです ... 続きをみる