nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

私は夫の周りの事故を独自に調べている
なんてことを知られたくなかった
陽に関しての話はわからないふりをして


「知り合いなの?
どうかした?」


「交通事故で死んだ」


ぽつりと一言
吉永敬次の事故から数か月
また、一人死んだわけだ
やはり、何かがあったに違いない


「この間、吉永のおっさんが川でおぼれて死んだ
次が陽だ」


震えるように話す


「それがどうしたの?
事故が重なったって言っても
川に落ちたのは自業自得だし
その陽って人はどんな人なの?」


「まだ若いんだ」


「そう、仕事で一緒の人?」


「ああ、けっこう仲良くて一緒にのみに行ったりしてた」


「そういう仕事で若い人なら
暴走族だったとかじゃないの?
ロクな人間はいないだろうから
スピードの出しすぎとかじゃないの?」


陽に関してはそんな人間ではないことは重々知っていたが
わざと知らんふりしていってみる
だいたい、私は今の夫の仕事が大嫌いで
作業着を洗うのも嫌になる
ヘルメットを持ちまわる仕事なんて!
それも下っ端の下っ端!