nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

誰もが事故で間違いないと言う


「保険って?」


「ああ、別に何でもないよ
貧乏人のひがみさ
あの事故より前にたまたま来た保険の外交員さんが
とにかく押の強い人で
結構な額の保険に入らされたらしいよ
それがよかったんだけどね
愛ちゃんも奥さんだって
そのおかげでこれからは、旦那が生きていたころより
幸せになるんじゃないかねぇ」


その話をしてくれたのは近所のおばさんで
ほかはだれも知らなかったようだ


「そりゃ、あんた余計なこと言って
なんか噂がたっても嫌だろう
私は今まで独身をとおしてきたんだけど
曲がったことが大嫌いでね
昔付き合ってた男がペットボトルを川に投げ込んだのを見て
結婚は絶対にしないって決めたくらいだからね
余計なうわさ話とかもろくなことじゃないだろう?!」


押しの強い保険の外交員!


気になることは多いけれど
やはり吉永の死は事故だった
そう考えたほうがいいのだろうか?
そう、長沢さんのあの優しそうで悪いことになんか
絶対に関係なさそうな笑顔


酒飲みで飲むとろくなことにならなかった吉永
それで、残った奥さんや愛ちゃんとやらにも
保険金が入って幸せなのならいいじゃないか


そう考えても怪しいとは思う気持ちもなくはないが
私は夫の優雅のことを考えた