nekoluckのブログ

サスペンス小説

2023年1月のブログ記事

  • 結婚

    妄想であったとしても なんだか気味が悪い 私が思っているような頭の悪いずるい人間ではなく もしかしたら完全犯罪だって成し遂げられる 頭のいい人間だったとしても あまりに正体がわからなさ過ぎて 一緒の部屋で今までと同じように暮らしていくことはできない 今まで馬鹿にしていた夫が恐ろしい 私はその足で友... 続きをみる

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  • 結婚

    それに、公安が私をつけているのならば 当然、優雅にも四六時中見張りが付いているはずで もし、優雅がこの一連の殺人を起こしているのならば 絶対、現行犯で捕まるだろう そんな風に話すと与那嶺さんは 「公安は国家の安全のためなら その辺の殺人犯は野放しにするかもしれないわ その辺の殺人犯が五、六人を殺し... 続きをみる

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  • 結婚

    「え!私に?」 驚いている私をよそに与那嶺さんは 落ち着いた様子で 「ええ、たぶん、40くらいに そうね、私に言わせればいかにも公安ですって感じの 女の人だわ 多分、普通の人にはわからないでしょうけれど 私には何となくね・・・ 私についている人も一人じゃなくって 何人も変わっていくけれど わかっち... 続きをみる

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  • 結婚

    「私は今でも見張られているの」 「見張られている?」 「そう、赤軍派の男の女として」 「え?!誰に?」 「公安よ!」 私は全く驚いた 公安なんて小説かドラマの中のことで 実際に日本の警察組織の中に 本当にあるのかも知らなかった それに、もう、20年は与那嶺さんの周りに現れていないのだ 「今でも?」... 続きをみる

  • 結婚

    「勇気はなかったけれど 公安に十分目をつけられていたの それに、一度道をそれてしまうと 彼は学問には興味を失っていたし 就職は無理だし 親族はそろって結婚には反対するし 彼の家のほうは息子が赤軍派だったってだけで 工場は倒産して一家離散 そういう時代でもあったんだけど ああ、そうかもしれない 『総... 続きをみる

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  • 結婚

    「最初に彼を親に合わせた時に すごく喜ばれたわ 彼は東京大学の理工学部の学生だったし 親は小さいながらも中小企業の社長 さわやかでお坊ちゃんで 私も知り合ったきっかけは 喫茶店で流れていたテンペストだったし 趣味も同じで見た目もさわやかで絶対に二、三年付き合ったら 結婚すべき人だと思っていたし そ... 続きをみる

  • 結婚

    与那嶺さんは全く違う話を始めた 「私ね最初から一生独身でいようって思ってたわけではないの 今から20年くらい前まで 付き合ってる人がいたのよ」 20年前と言えば与那嶺さんが60くらい? 今の私くらいだろうか 「29歳の時に知り合って 59歳で彼が死ぬまで恋人同士だったの」 「結婚はしなかったんです... 続きをみる

  • 結婚

    与那嶺さんは濃いミルクティーを淹れてくれた それで、私は少し冷静になれた 「こういうことを言いたかったんですね」 与那嶺さんは甘いチョコレートスフレを私に勧めながら 「これ、ブランデーが入ってるし 十分甘いいのよ ショッキングなことが起きた時は お酒か甘いものがいいの もう少し落ち着くまで待ってる... 続きをみる

  • 結婚

    もう、仕事に行くどころじゃなかった 体が震えてこのままでは立ってることすらおぼつかない さっきの若い男が 「おばさん大丈夫かよ! どっか具合悪いんじゃねぇの いきなり線路に飛び出そうとするんだもん 俺、行くよ! 病院、行きなよ」 親切ないい子だったのだが 私はお礼も言えなかった あれは夫だった 背... 続きをみる

  • 結婚

    私は大概の人間のことは知りたい 好奇心旺盛でそれが全く利害関係のない人でも 過去は知っておきたい ただ、夫だけは違う それはどうでもいいと言うのとも違う ただただ、苦々しい 自分の大きな人生の失敗を目の前に突き付けられるように 苦しみだけが残りそうで 彼の過去なんか本当に知りたくない 与那嶺さんの... 続きをみる

  • 結婚

    もちろん、彼の実家に遊びに行けば 彼の兄弟や義母と話はするが 通り一遍、天気の話がせいぜいで 詳しく彼の生い立ちを聞いたこともなければ いったいどんな人なのかも知らないままだった それでも、私はよかったし 何も思うことはなかった 彼のいいところは子育てに全く口を挟まなかったことだ その頃の私は、そ... 続きをみる

  • 結婚

    恋が冷めてしまえば 夫になど全く興味がなかった 翔が新しい父親になじむよう 悲しい思いをしないように 新しい環境で、勉強がスムーズにでき 友人と楽しく過ごせるよう そのことに全力を注いでいた すぐに朱雀と環奈が生まれた 専業主婦を望んだわけではないが 翔の教育と10歳下に生まれた年子の朱雀と環奈で... 続きをみる

  • 結婚

    それは間違いないと言う 彼女が言うのならそうなんだろうけれど それなら、いったい誰が犯人だと言うの? 黙ってしまった私に、与那嶺さんは 「答えは明白だと思うけれど」 「え!?」 「あなた、ご主人の過去を知ってるのかしら?」 少し冷たい声でそう言われた 優雅の過去! いや、まったく知らない 結婚する... 続きをみる

  • 結婚

    驚いた! その優雅がわからないと言う なんだか、気持ちが悪い それでも、あと、死ぬのって 優雅、うちの夫だけだ だいたい、10万円くらいで 三人で10万円なのだから 一人頭3万3千円?! それでその、大事な情報を売るやつも売るやつだが だいたい、支店長である信也と孝也の父親が一番情けない気はする ... 続きをみる

  • 結婚

    どういうこと? 舞さんまでも殺した犯人 いったい誰なのか? 優雅としゃべるのもうんざりだが 「あれから、誰も事故にあわないね」 すると、少し笑った こいつは嘘つくときこんな笑い方をする 「もう、誰も死なないんじゃないかな」 その言い方は自信に満ちている そして、いやな予感がした 「どうして?」 少... 続きをみる

  • 結婚

    帰りの新幹線の中 少し笑ってしまうほど馬鹿な二人組だった いや、情報を売った三人組だって ディズニー映画の悪レベルだ そんなバカバカしいことに加担した夫 全くうんざりする人だ でも・・・・ じゃ、いったい誰が次々と人を殺してるの? 単なる偶然の事故? 関係者を一人一人思い浮かべてみる 肝心の強盗犯... 続きをみる

  • 結婚

    彼らが人殺しじゃないことを確信すると 腹を決めた 「あなたたち、銀行がお金を運ぶ日にちとか時間 それにルートってどうやって知ったの?」 兼のほうがぎょっとしたように 私を見たが ふみちゃんの兄ちゃんのほうは 自慢気に 「それは、あの三人組さぁ 最初、人のよさそうな支店長と愛人の人? あの人に聞きた... 続きをみる

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  • 結婚

    これはやっぱり、殺してなんかいない 「あの人、自殺したの?」 「支店長のこと愛してたんじゃない? 支店長が自殺した後、しばらくしてね」 こういう輩は愛だの、恋だのには飛びついてくる 理解しやすいから 私はかなり下の階層の人間に対しては だいたい恋愛話で仲良くなることにしている 驚いたことに、二人は... 続きをみる

  • 結婚

    「いたけど、何?」 兼のほうが前に出てきた 「何か警察にでもチクろうってわけ」 私は子供をたくさん見てきた 五歳くらいで子供の人間性は固まる だから、それ以上の大人であったとしても 五歳の子供と変わらない そして、彼らは五歳の子供に見立てたら 相当頭が悪い部類の子供だ でも、田舎者だからっていうわ... 続きをみる

  • 結婚

    今までのことから考えると 彼らが銀行強盗に成功して それまでの証拠隠しに銀行の様子を教えてもらった あの、三人組のなかの吉永敬次と市田陽を消した そしてそれに気が付いた支店長の愛人だった舞さんも手にかけた?! この岡山から人を殺しに行ったのだろうか? 何を聞こうか、何を話そうか、もしこの男が そん... 続きをみる

  • 結婚

    農協を出ると橋を渡る 小さな商店街があって横に抜けると 広い田んぼ その広い田んぼの中にポツンポツンと ビニールハウスがあった 真ん中あたりには牛を飼ってる小さな牧場もある 本当に私の田舎と同じだった 田舎から出てきて、何かいいことがあっただろうか? あのまま、田舎にいて親の言うとおりの結婚をして... 続きをみる

  • 結婚

    嘘みたいにすぐに分かった でも、田舎ってこういうものだ 「ふみちゃんの兄ちゃんと友達の兼とかいう人が トマト農家失敗して東京行って金貯めて 今度はキュウリ農家やるって張り切ってますよ それじゃないですかねぇ」 それに違いない でも、東京に出てから次にキュウリ農家をやれるまで 期間が短すぎない? 周... 続きをみる

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  • 結婚

    私は岡山のその町に行ってみることにした 雲をつかむような話かもしれない そう思ったけれど田舎生まれの私には その町の規模を調べて、そうでもないと思えた 自分がその程度の町の近くの村の出身で たぶん、「トマト農家に失敗した30代くらいの人間」 そういえば、すぐに噂になっていて わかるはずだと思ったか... 続きをみる