nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

妄想であったとしても
なんだか気味が悪い
私が思っているような頭の悪いずるい人間ではなく
もしかしたら完全犯罪だって成し遂げられる
頭のいい人間だったとしても
あまりに正体がわからなさ過ぎて
一緒の部屋で今までと同じように暮らしていくことはできない
今まで馬鹿にしていた夫が恐ろしい


私はその足で友人の家に行った
雅子は同い年だが独身で
結婚したことはない
大学の時からの親友で
お互いのことはほとんど知っている
仕事に邁進していて
荻窪にある一軒家も仕事一筋で手に入れたものだ
趣味のいい優しい家で
長いこと私の離婚を望んでいた


「ねぇ、一番下の環奈ちゃんが大学に入ったんでしょう
もう、子供のために一緒にいる必要はないじゃないの
離婚しちゃって
ここで一緒にすまない?
私、会社を辞めたら自分で何か始めたいの
紀代となら絶対に成功しそうだし」


6年前からそう言っている
でも、一番下の娘が大学に入ってからのほうが
夫はひどかった
バイトと奨学金で大学に通ってる娘から
お金を借りたり
家には全くお金を淹れない月が続いたり
雅子の言うとおりにしたかったのだが
なかなかそういうわけにもいかなかった