nekoluckのブログ

サスペンス小説

結婚

帰りの新幹線の中
少し笑ってしまうほど馬鹿な二人組だった
いや、情報を売った三人組だって
ディズニー映画の悪レベルだ
そんなバカバカしいことに加担した夫
全くうんざりする人だ
でも・・・・


じゃ、いったい誰が次々と人を殺してるの?
単なる偶然の事故?
関係者を一人一人思い浮かべてみる
肝心の強盗犯、あの二人があの調子だと
殺さなきゃならないほど関係者を恨んでる人?!
それは舞さんの弟、長沢祐樹?!
いやいやいや!
彼は足が悪いのだ
家を訪ねた時に目の前でいざっているのを見た
仮病?!
そんなはずはない
彼のために舞さんはいろいろと生活を犠牲にしていた
あの不倫だって、そういう気持ちが
走らせたのかもしれない
健全な恋はできないから?!


後、狙われるとしたらやはり優雅
うちの夫だ
いったい誰が彼を殺すほど恨んでいるだろう?
殺さなきゃならないほど
今の生活に支障があるのだろうか?


でも、あの最後の事故以来
うちの夫は奇禍に会うこともなく
ピンピンしている

結婚

彼らが人殺しじゃないことを確信すると
腹を決めた


「あなたたち、銀行がお金を運ぶ日にちとか時間
それにルートってどうやって知ったの?」


兼のほうがぎょっとしたように
私を見たが
ふみちゃんの兄ちゃんのほうは
自慢気に


「それは、あの三人組さぁ
最初、人のよさそうな支店長と愛人の人?
あの人に聞きたかったけど
さすがに無理そうだった
それで、あの爺さんとおっさん
それに若いおとなしそうなやつに頼んだんだ
あれ、10万だったっけ」


そう、兼に話す
相当な馬鹿だがそれでよかった
兼のほうは私に


「あんた、誰?」


そう、不審そうに聞いた
これを明かすのが一番嫌だった
いや、関係者だとわかるからとかではない


「その三人組のじいさんの嫁だよ」


もう恥ずかしい
夫の嫁なのは私の中で生きてきて一番恥ずかしいことだ
こんな頭の悪い奴らに対しても
真っ赤になってしまう


「ああ、それなら警察に届けたりしないよな
だって、あいつらも共犯者なんだから」


私はしっかり頷いた


「もちろん、絶対に言わない!
安心して!」

結婚

これはやっぱり、殺してなんかいない


「あの人、自殺したの?」


「支店長のこと愛してたんじゃない?
支店長が自殺した後、しばらくしてね」


こういう輩は愛だの、恋だのには飛びついてくる
理解しやすいから
私はかなり下の階層の人間に対しては
だいたい恋愛話で仲良くなることにしている
驚いたことに、二人は支店長夫婦の自殺も知らなかった


「へぇ、そんなことになってたのか
俺ら、すぐ帰ってきたもんなぁ」


「そうそう、結構うまくいったし・・・」


ふみちゃんの兄ちゃんのほうがケロっとしゃべる
兼って人が
しっと口に手を当てる
あら、銀行強盗のほうはやっぱりこの二人?
今、目の前にある立派なビニールハウスは
そのお金で作ったのね
兼のほうが私を不安そうに見つめた
私は銀行強盗の犯人とか興味ないし
警察に言うなんてこと絶対にしない
知りたかったことがわかって大満足だ